第2回は、さまざまなタイプのクランクベイトのなかから、カバークランキングに適したモデルの選び方を教わりました。
クランクベイトの選び方。素材、形状、アクションは?
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
今回のお題は「カバークランキング」。 編集部員のふたりが弟子入りする先生は古沢勝利さんだ。 アメリカのプロツアーにノンボーターとして参戦し、リック・クランを始めとするプロアングラーの釣りに触れて己のクランキングを磨いた古沢先生。 その理論とテクニックをYとSが授かる! 第2回は、さまざまなタイプのクランクベイトのなかから、カバークランキングに適したモデルの選び方を教わりました。編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2011年6月号に掲載されたものを再編集しています
講師=古沢勝利(ふるさわ・かつとし)
古沢先生の公式サイト
1967年生まれ。JBワールドシリーズなどで活躍したのち、アメリカのFLWツアーにノンボーターとして参戦。リック・クランなど、数々のツアープロの釣りを間近で見てきた。2005年にボーター部門に昇格し、2007年には年間ランキング8位を獲得した。現在は定期的に湖上セミナー「マスターマインドミーティング」を開催している。釣り方のレクチャーだけでなく、参加者同士の交流を図り、個々のバスフィッシングが向上していくことを目的としたイベントだ。
生徒=ヤマガタ(Y)
1978年生まれ。この道場のまえにバスマスタークラシックの取材に行っており、アメリカかぶれが継続中。アメリカンなクランクで釣り、「Wow!」と吠える予定。
生徒=ササキ(S)
1984年生まれ。カバー撃ちは大の苦手だが、クランクは大好きで複雑な心境。ちなみにこの道場は4月6日に取材を行なったが、この年の初バスをまだキャッチしていなかった。古沢先生に弟子入りして心ときめくバスをキャッチすることができるのか?
カバークランキングとは……クランクベイトを立ち木、レイダウン、ブッシュなどの障害物に絡めながら引くテクニック。strong>
古沢先生の公式サイト
1967年生まれ。JBワールドシリーズなどで活躍したのち、アメリカのFLWツアーにノンボーターとして参戦。リック・クランなど、数々のツアープロの釣りを間近で見てきた。2005年にボーター部門に昇格し、2007年には年間ランキング8位を獲得した。現在は定期的に湖上セミナー「マスターマインドミーティング」を開催している。釣り方のレクチャーだけでなく、参加者同士の交流を図り、個々のバスフィッシングが向上していくことを目的としたイベントだ。
生徒=ヤマガタ(Y)
1978年生まれ。この道場のまえにバスマスタークラシックの取材に行っており、アメリカかぶれが継続中。アメリカンなクランクで釣り、「Wow!」と吠える予定。
生徒=ササキ(S)
1984年生まれ。カバー撃ちは大の苦手だが、クランクは大好きで複雑な心境。ちなみにこの道場は4月6日に取材を行なったが、この年の初バスをまだキャッチしていなかった。古沢先生に弟子入りして心ときめくバスをキャッチすることができるのか?
カバークランキングとは……クランクベイトを立ち木、レイダウン、ブッシュなどの障害物に絡めながら引くテクニック。strong>
古沢先生の問④
クランクが苦手なカバーとシチュエーションを答えなさいY 物理的にクランクを投げられなかったり、引けないところです。厚いマットカバーとか、大きなブッシュのど真ん中とかは手が出せません。
古沢 うん。バスがマットカバーやブッシュの際にいるときは対応できるけど、中に入られちゃうとお手上げだよね。そういう状況はフロッグやテキサスリグにおまかせ。
S 逆に言うと、投げれて引ければどんなカバーでもいけちゃうんですか?
古沢 「動くカバー」は苦手かな。水面を漂ってるゴミとか、ぶらぶらしたツルとか。クランクはカバーと接触したときにヒラを打ったり跳ねたりしてかわすんだけど、相手が動いちゃうと引っ掛かりやすい。ジャンプするときにジャンプ台が動いちゃうと難しいのと同じだね。
Y ウイードはどうなんでしょうか? ここまでの話を考えると、とっても相性が悪い気がするんですが。
古沢 ウイードは例外かな。クランクをいったんウイードに引っ掛けて、そのあとズバッと切ったときに出るイレギュラーアクションが効くことがある。ただ、モデルによって向き不向きがある。ウイードに強いのはRC2.5やスクエアA5/8ozだね。
S 水温的にはどうなんでしょうか? 低水温だとバスがクランクを追いきれないイメージがあるんですが……。
古沢 うん。同じクランキングでも、水温8℃を下回るときはサスペンドシャッドをスローに巻くことが増える。ほかにも、「水温8℃を超えたらウイグルワートが効きはじめる」みたいな感じで、水温によってモデルを使い分けたりする。ただ、判断基準は経験的なものが大きいから自分でいろいろ試すことが大事だね。
古沢先生の答え④
マットカバーやブッシュの奥にはクランクを入れられません。また、水面を漂うゴミや上からぶら下がったツルなど「動くカバー」はかわしにくいですね。
古沢先生の問⑤
カバークランクに適したクランクのボディー素材と形状を答えなさい古沢 まずは素材からいってみようか。
Y バルサで決まりでしょう! 浮力が強いほうが根掛かりしにくいはずです。
古沢 うんうん。浮力が強いほど根掛かりしにくいのは間違いない。かつてはバルサ製のクランクは軽くてキャストしにくいモデルがあったけど、最近は製法や素材の工夫で克服されてる。
S ほかの素材じゃダメなんですか?
古沢 全然そんなことはないよ。最近は技術が進んで、ほかの素材でも充分な浮力と使い勝手を両立できるようになった。たとえば薄いプラスチックや発泡ウレタンとかでも高い耐久性能を保てる。安心して使っていいよ。
Y ところで浮力が強いと根掛かりしにくいのはナゼなんでしょうか?
古沢 アクションのピッチが速くなるからなんだ。ボクサーにたとえると、ジャブからガードに移るスピードが速くなるから根掛かりしにくくなる。じゃあ次はボディー形状について。ヤマガタ君はどう思う?
Y ボディーの横幅が広いラウンドボディーのほうがカバーに向いているはずです。フックをすっぽり隠してくれるから。
古沢 いいね。ボディーの体積が大きいほうが浮力も強くなる。
S ちょっと待ってください! そう言っておきながら、古沢先生が作ったフラットフリッカーはフラットサイドでは?
フラットフリッカー
古沢 ふふふ。鋭いね。たしかに、障害物回避能力はラウンドのほうが上。ただし!
Y ただし?
古沢 ラウンドとフラットサイドではアピールの質が違うから、状況によってはフラットサイドのほうが有効になる。
Y フラットサイドはフラッシングが強い、って言いますよね。
古沢 うん。重要な違いだよね。フラットサイドはヒラヒラッ!と小魚のようなフラッシングを出す。スピナーベイトのブレードに近い感じ。
S 水押しの強さも違うと言われています。
古沢 強さというか、質が違うね。同じボディー体積のラウンドとフラットサイドを比べた場合、動かす水の質量は同じだけど、「丸で押す」と「平面で押す」の違いがある。この違いでバスの反応に差が出ることがあるんじゃないかな。
Y ラウンドとフラットサイドの使い分けでいつも悩みます……。
古沢 あくまで僕の基準だけど、クランクがボトム付近を通るスポットではラウンドを使う。ボトムもカバーのひとつと考えて積極的にボトムノックさせる。常にボトムに当てる必要はないけど、たまにノックさせるだけでバイトチャンスを作れる。
S じゃあ、フラットサイドの出番はいつなんでしょう?
古沢 サスペンドしてるバスをねらうときはフラットサイドの出番。水深5mにある立ち木の水面下1mを通したりする。小技が得意なのもフラットサイドの特徴で、トゥイッチしてあげると軽やかにヒラを打ってくれる。ボトムというカバーを使えない状況でもバイトチャンスを作りやすいんだ。
古沢先生の答え⑤
浮力が強いほうが根掛かりしにくいです。バルサのほか、プラスチックや発泡ウレタンでも強い浮力を確保しているモデルがあります。ボディー形状はラウンドとフラットサイドを状況に応じて使い分けましょう。
古沢先生の問③
カバークランキングにマッチするクランクのアクションを答えなさいS 状況によるんじゃないでしょうか。バスの活性が低いときはロール主体のタイトなモデルがよくて、逆にバスが元気ならウォブルが強いクランクがいいと思います。
古沢 うん。アクションだけじゃなくてカラーやサイズに関してもいえることだけど、自分の基準で使い分けることが大事だよね。
Y なるほど。ちなみに先生の基準は?
古沢 まず、手もとにブルブルが伝わってきて、「自分が何をやっているか」わかるクランクであることが前提。「いまカバーに当たったな」とか「バイトだ!」と把握できるからね。
Y ある程度のウォブルが必要だと。
古沢 ウォブルが強いと根掛かりしにくくなるしね。それで、理想のアクションは残像になるようなアクション。
Y 残像?
古沢 うん。鉛筆の端を持ってフリフリしたときのグニョグニョした感じ。鉛筆が曲がって見えるでしょ? アメリカでデビット・ウォーカーがあるクランクを引いているのを見て、「これだ!」って思ったんだ。生命がないはずのクランクが本物の小魚に見えた。そのときのアクションがちょうどそんな感じだったんだ。
S わかりますけど、どうやってそんなアクションを再現するんですか?
古沢 いろいろ試してわかったけど、ロール5:ウォブル5のアクションだとそうなる。ラウンドでもフラットサイドでもこれが黄金率みたい。この割合を意識して作ったのがフラットフリッカーなんだ。
古沢先生の答え⑥
巻いたとき手もとにブルブルが伝わってくるもので、ロール5:ウォブル5で残像になるようなアクションのモデルがおすすめです。
古沢先生の問⑦
カバークランキングに適したリップ形状を答えなさい古沢 大まかにいうと、スクエアとラウンド、コフィンがある。まぁ、スクエアとコフィンは性能的にはほぼいっしょだから、四角か丸かの2タイプと言っていいかな。
S イマイチ違いがわかんないんですよね……。
古沢 リップがカバーに当たったときのかわし方が変わってくる。ラウンドだと、リップがカバーを舐めるようにその場でボディーを横倒しにしてかわすことが多い。スクエアだとリップがつまってボディーが跳ねてかわす感じ。あと、スクエアのほうがウォブルが強くなる傾向があるね。
Y スクエアのほうが根掛かりしにくそうです。
古沢 基本はそのとおり。ただ、カバーへ当たったときの角度やスピードによってかわし方は全然違ってくるので一概には言えないっていうのが正直なところ。リップ形状に関しては「気にする必要なし」というのが僕の結論。
S 意外です。
古沢 たしかに、リップ形状によってアクションや障害物回避能力は変わってくる。でも、コレって、ボディー形状や素材によっても大きく左右されるよね。ラウンドでも上手にカバーをかわしたり、スクエアでも引っ掛かりやすかったり、例外が多いんだ。だからあまり気にしていない。実際に使ってみたときの感覚を大事にすべきだね。
重心移動と固定重心
カバークランキングに適しているのは固定重心だと古沢先生。カバーに当たったときにバランスを崩しても復元するのが早く、よりタイトにカバーを釣ることができるからだ。重心移動だと、カバーにヒットした際に内部のウエイトが動くためクランクが跳ねやすく、カバーから離れがち。「ただし、スタンプなど、幅があるカバーを釣る際は重心移動が有利なことがある」と古沢先生。固定重心だと、その復元速度の早さゆえ、まだルアーがカバーの上にいるのに姿勢が元に戻り根掛かりの原因になることがある。
カバークランキングに適しているのは固定重心だと古沢先生。カバーに当たったときにバランスを崩しても復元するのが早く、よりタイトにカバーを釣ることができるからだ。重心移動だと、カバーにヒットした際に内部のウエイトが動くためクランクが跳ねやすく、カバーから離れがち。「ただし、スタンプなど、幅があるカバーを釣る際は重心移動が有利なことがある」と古沢先生。固定重心だと、その復元速度の早さゆえ、まだルアーがカバーの上にいるのに姿勢が元に戻り根掛かりの原因になることがある。
古沢先生答え⑦
リップの形状はとくに気にしなくてOKです。見た目よりも実際の使いやすさを重視しましょう。
古沢先生の使用ルアー例
ビッグバド 69.9㎜、17.5g/最大潜行深度0.5m/ラウンドリップ/フロントフック#2、リア#3
トップウォーターのイメージが強いが、古沢先生は潜らせて使うことも多い。「ロールが入らない強烈なウォブリングが特徴。ほとんど根掛からいという意味ではカバークランクのお手本のような存在だね」
ウイグルワート 50㎜、12g/最大潜行深度2.5m/ラウンドリップ/フロントフック#6、リア#6
ビッグバドと同じくロールが入らないウォブル主体のクランクだが、こちらは根掛かりしやすい。「千鳥足アクションなのでカバーの中に入り込んじゃう。水温8℃を超えたあたりで強烈に釣れる。似たようなアクションのモデルがほかにない、替えがきかないクランクだね」
RC2.5 68㎜、16.5g/最大潜行深度1m/スクエアリップ/フロントフック#2、リア#2
古沢先生はウイードエリア用として愛用。ウイードを切ったときのイレギュラーアクションがバイトを誘発する
E-Ⅰ 50㎜、12g/最大潜行深度1.5m/丸みのあるスクエアリップ/フロントフック#5、リア#5 ※サイズは編集部で実測
バグリーのバルサB1(70年代以前の旧モデル)を忠実に再現している。ロールがやや強めで、古沢先生が言う「ロール5:ウォブル5」の黄金率アクションを出す
E-Ⅱ 60㎜、16g/最大潜行深度1.5m/丸みのあるスクエアリップ/フロントフック#4、リア#4 ※サイズは編集部で実測
こちらはバルサB2をカバーしたもの。古沢先生のカバークランキングの基軸となるモデル
ディープタイニーN 42㎜、6g/最大潜行深度1.5m/ラウンドリップ/フロントフック#6、リア#6または4
通常サイズのクランクに反応しない魚も食ってくることがあるフィネスクランク。先行者がいるときや2流し目などで投入することが多い
フラットフリッカー 40㎜、7g/最大潜行深度2m/スクエアリップ/フロントフック#7、リア#7
フラットサイドながら高い障害物回避能力をもつ。ボトムやカバーに当てていくのが基本だが、「ロール5:ウォブル5」のアクションにより、オープンウォーターの中層でもバイトを得やすい
フラットフリッカーforカバー 50㎜、14g/最大潜行深度2m/コフィンリップ/フロントフック#6、リア#4
フラットフリッカーのボディーを大型化し、より浮力を強めたカバー仕様。ウエイトがあるのでキャストが決まりやすい
DD-22 75㎜、27g/最大潜行深度4.5m/ラウンドリップ/フロントフック#2、リア#2
リザーバーの立ち木エリアなどで立ち木に絡めて使ったりディープにあるオダなどを探ったりする。強烈なウォブルアクションが持ち味で根掛かりしにくい
2017年3月25日発売のBasser5月号で特集するのはテキサスリグ。リーダーレスダウンショットというカバー攻略のライバルが世に定着した今、それでもなお青木大介さんと小森嗣彦さんという国内最強を争うふたりがテキサスリグにこだわるのはナゼなのか? その理由と活用術を紹介します。そのほかにも、このリグの魅力を100%以上引き出している多数のアングラーの技を掘り下げていきます。
2017/04/18