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アユ釣り/野生を惑わす複合メタル0.01号の泳がせ術

おすすめ時期:6~11月(解禁期間要確認)

編集部◎文・写真
028-031kozagawa-metaking_cs6 (1)_22段、3段に金星を輝かせ、手に乗せても挑発的な目でにらむ古座川の天然アユ

古座川のベテラン、浅利和弘さんは「渇水時の天然アユは気難しい」と言う。オトリの動きや色に敏感で、フレッシュかつ生きのよい泳ぎをしないと反応しにくい。理想の泳ぎを引き出すには、水切りのよい軽いイトが欲しくなる。0.01号の複合メタルを操り、古座川の野生を静かに掛ける浅利さんの技に密着。

この記事は『つり人』2016年8月号に掲載したものを再編集しています。

渇水の古座川
アユは見えても渋い

 幾筋もの水脈が広がる紀伊半島の中で「古座川のアユはメチャきれいや」と言う関西の友釣りファンは多い。七川ダムが流れを寸断しているが、それより下流は背ビレの長い天然アユが熊野灘からソ上する。

028-031kozagawa-metaking_cs6 (2)神秘の一枚岩は古座川の名勝。目の前にも瀬があって好ポイントになっている

 河口から車で上流に20分も走れば景勝地の一枚岩が現われる。赤茶けた岩肌が剥き出しになった、岩というよりも山。周辺は好釣り場として知られ、6月初旬に訪れたこの日も数人の釣り人がいた。釣果を聞くと芳しくない答え。「ひどい渇水や。アユは見えても掛からへん」と嘆いている。

 取材をした2016年は例年よりソ上が少なく渇水。どうやら和歌山県の天然アユ河川はどこも同じような状況だとか。

028-031kozagawa-metaking_cs6 (3)食みアユは古座川の各所で見られたものの、追い気がない

 一枚岩から15分ほど流れを辿ると七川ダム。そのほぼ直下にあるオトリ店を営むのが浅利和弘さん。公務員を早期退職して以来、「好きなことをやる」と夏はアユ、冬は猟犬と森を巡ってシシやシカを狩る日々。川と山の恵みを糧に生きる。古座川で産湯を浸かり少年時代に友釣りを覚え今に至る。アユ釣り競技会にも参戦し、2015年夏のシマノジャパンカップ鮎釣り選手権では、名手揃いのインストラクター選抜を勝ち抜き全国大会に出場。

「古座川のアユで修業をすれば大抵の川で釣れるようになる」

 そう言う浅利さんが得意にするのは泳がせ釣りだ。見えるナワバリアユを1つ1つ掛けていくのが何より面白いという。

028-031kozagawa-metaking_cs6 (4)浅利和弘さんは年季の入った泳がせ釣りで野アユを挑発

水切りのよいイトをゼロオバセ周辺でコントロール


「水が詰まるとアユが怯える。警戒しやすく立ち込むとさっと逃げる。川に足を浸けた時にアユが散るかどうか。これも釣果を左右するバロメーターや。散るアユが多いとナワバリアユは少ない。というかナワバリを張ってもすぐに離れてエサ場の石に執着しにくい」

 そんな厳しい本流を避けて浅利さんは支流の佐本川を目指した。上流にダムがなく透明度の高い渓流である。頭上の木には気を遣うが、川幅は広く9mのサオも振れる。斜面を降りると瀬肩にはギラギラと身を翻す野アユがそこかしこに見えている。

028-031kozagawa-metaking_cs6 (5)濡れる森、磨かれた石、苔むした岩。古座川支流佐本川の水は透明度が高くアユも美味だ。本流の渋い状況下でもまずまずの釣果があがっていた

「川辺に着いたらまずは追うアユがいるかを見るんよ」

 しばらく目を凝らすと噛みつくように追いあう野アユもいる。こうした追い気のある魚を見つけては、オトリを誘導して絡め取るという。

「オトリが必死に泳いでいると掛からん。逃げるアユもおる。水平の姿勢でスーイスイと泳がせるんや。そのためには水切りのいいイトがええ」

 浅利さん愛用の水中イトはシマノ「メタキング」0・01号。その線径は0・038㎜。複合メタル史上最も細い号数である。2015年からプロト品を使っており「めっぽう強くて泳ぎが軽い」と絶賛する。

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028-031kozagawa-metaking_cs6 (6)浅利さんが主力アイテムにするメタキング0.01 号。小石底の河川で特に威力を発揮。根ズレに弱いため付けイトは50cm と長めに取るのがおすすめという

028-031kozagawa-metaking_cs6 (7)「メタキング」は付けイトと8 の字で結束しても強度が落ちないと浅利さん。しなやかでイト折れしにくいのが理由でトリプル8 の字がおすすめ

028-031kozagawa-metaking_cs6 (8)ハリはシマノ「早虎」6.5号の4 本イカリ。鈍りにくく1本で1日釣れることもあるそうだ

028-031kozagawa-metaking_cs6 (9)愛竿はシマノ「リミテッドプロFW ベリーベストNP」。自重205 g。感度が高く適度な柔軟性がありイトの操作をしやすい

 泳がせ釣りとはイトの抵抗でオトリを自力で泳がせる釣り。このため水切りのよいメタルよりはフロロやナイロンの愛用者が多いが、浅利さんは昔から単線メタルを主体に使っていた。理由は古座川をはじめ和歌山の河川の多くは底石が小さく平坦なため。底流れが速く底の凹凸が乏しいためオトリの休まる場所が少ない。抵抗の強いイトは1ヵ所に留めるのが難しく操作しづらい。

「走らせすぎても釣れんのや。スピードをコントロールせんといかんからメタルのほうが扱いやすい」

 持参したオトリは1尾。ハナカンを通して放つ。遊びアユではなく追うアユを見極め、足もとからオトリを泳がせて到達させる。オトリが止まれば鼻に刺激を加えて泳ぎを促す。穂先にオトリの重みが乗ったところで緩める。この繰り返し。

「上手の指の感覚が大事。ここでイトの抵抗を感じて張り加減を調節しとる。オトリは教育やからね。最初が肝心で休む癖がつくとオバセを出しても泳がん。底に貼りつくようにして休もうとする。かといって鼻を吊り上げすぎてもあかん。弱りも早うなるし、流れに負ける。カガミになった瀬肩はオトリのようすがよう分かる。どれくらいのオバセ、張り加減だとええ感じに泳ぐかを見ておくこと。オトリを観察しながら釣っとれば指の感覚もそのうち研ぎ澄まされてくる」

028-031kozagawa-metaking_cs6 (10)オトリは水平姿勢で泳がせる。イトの抵抗を受けて必死に泳いでいるようだと掛かりにくい

 ねらいのスポットにオトリが入る。何度か追われるもハリ掛かりに至らない。「元気なオトリなら一発なんやけどな。野アユが気にいらん泳ぎをさせなあかん」と優しく穂先を効かせては抜く。水中のオトリは浮き上がるまいと前傾姿勢で持ち上がり、再び潜る。これを2、3回繰り返し、テンションをスッと抜いた瞬間に川底に閃光が走る。追い星が2段3段になったアユが躍り上がる。「きれいやね」と目を細め浅利さんはオトリを替える。対岸のヘチ付近にも追いの強いアユがいた。沖に送り出した元気オトリ、野アユの反応は早い。ビュンと目印が走って2尾目が掛かる。同じ調子でナワバリアユを見つけてはオトリをそろりと近付けて絡め取る。掛かった刹那にサオを立て、一気に抜き上げる場面も数回見られた。

「口掛かりのアユは即座に抜き上げんとバレやすいんよ。首をグングン振るような引き方をしたら、電光石火で一気抜き。それも心掛けていることのひとつやね」

 それにしても掛かった時以外は実に静かに釣りをする。

「古座はバタバタと動くより、静かにじっくり攻めたほうが数は伸びるんや」

 正午までの2時間は時速6尾程度。20mほどの瀬肩を淡々と探りきった。

理想の泳ぎは目印が下流45度の角度で滑る


 午後からは「型のよいアユを取ろう」と青く深い淵につながる短い瀬の落ち口を目指す。浅利さんは濡れて滑りやすい岩壁を軽快に伝って淵の上に出た。目印を水深の1・5倍程度に上げると流れがすぼまる落ち口にオトリの顔を上流に向けて放つ。

028-031kozagawa-metaking_cs6 (11)淵の落ち口直前の瀬でオトリを背負った良型。背ビレが長い

「目印が下流に倒れて45度くらいの角度で滑る感じ。それが理想的な泳ぎやね」

 複合メタル0・01号は急流を切る。きつくなった流れの中でイトを立ててもオトリは浮かず、じわじわと上に泳ぐのだ。イトの角度を下流側45度に保つようにサオの角度を調整し、穂先に軽くオトリを乗せてはテンションを抜き泳ぎをうながす。ほどなくイトに衝撃が走り、目印が水中に吸い込まれた。イトを張って愛竿をためる。オトリを背負った真っ黄色の20㎝クラスが水面に出た。背ビレが尾ビレにまで到達しそうな魚体。

「これがホンマもんのアユや(笑)」

 と浅利さんは日に焼けた顔をほころばせる。これをオトリにすると瞬時に掛かり、ダダッと短い瀬を下り淵に落ちる。暴れる20㎝クラス2尾を難なく抜き上げた。

 やがて大粒の雨が降って来た。濡れた森と苔むした岩。そぼ降る雨の佐本川は神秘的な紀南の山にぴったりの風景だ。梅雨となり水が増えれば本流のアユも活気づく。極細の複合メタルで気難しい美形魚を攻略してみてはいかがだろう。

028-031kozagawa-metaking_cs6 (13) 028-031kozagawa-metaking_cs6 (14)浅利さんのオトリ店は七川ダムのすぐ近くにあり。留守にしている場合は入金箱にお金を入れてオトリを購入できる

028-031kozagawa-metaking_cs6 (12)ハイペースでは掛からなかったが、良型が20 尾ほど

南紀月の瀬温泉「ぼたん荘」
(℡ 0735・72・0376 /和歌山県東牟婁郡古座川町月野瀬881-1)
028-031kozagawa-metaking_cs6 (15) 028-031kozagawa-metaking_cs6 (16) 古座川の牡丹岩の近くにある温泉旅館だ。アユ釣りファンにお得なプランもあり。地の幸をメインに釣ったアユはひとり2 尾までなら持ち込みで塩焼き調理もしてくれる


和歌山県/古座川水系 028-031kozagawa-metaking_cs6 (1)_1 ●管轄漁協:古座川漁協(℡ 0735・72・3800)
●オトリ店:浅利和弘(℡ 0735・76・0069)
●交通:紀勢自動車道・尾鷲北IC で降り、尾鷲南IC から熊野尾鷲道路を利用。R42 で串本方面へ走り西向の交差点を右折。県道38 号、県道371 号で古座川沿いを上流へ。佐本川には県道224 号でアクセス


  
 

 

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